2023年6月28日水曜日

折り畳み自転車のタイヤを交換してみた(後編)

 こんにちは。技術部のチュータローです。

前回に続き、折り畳み自転車のタイヤを初めてDIYで交換してみた、の後編です。

前回は、タイヤ交換に至る経緯と交換の準備まで紹介しました。今回は交換の実

作業を紹介します。


今回のタイヤ交換は前後両方です。まずは簡単な前タイヤから取り掛かります。

折り畳み自転車の構造を利用し、折り曲げたままひっくり返して、タイヤを外し

やすい態勢にします。


まずタイヤの軸を留めている「ハブナット」を左右ともモンキーで外します。固く

締まっているので、柄が長い工具の方がいいです。ナットの奥にワッシャーがある

ので、これも外します。このワッシャーの片側には滑り止めの溝が彫ってあるタイ

プです。

ここで「脱輪防止ワッシャー」なるものが現れます。爪が付いており、ハブナット

が緩んでもこれのおかげで車輪が外れないようになっています。なるほど。浮いて

いれば、外します。固着している場合は、ドライバーなどでこじって外します。

今回、片側のワッシャーが車輪の軸から完全に外れませんでしたが、爪が外れさえ

すればよく、無理に車輪から分離する必要もないので、付けたままにしておきまし

た。これのおかげで、後で車輪を取り付ける際に車輪の左右が区別できて、好都合

でした。

これで、自転車本体と車輪の固定が解除されましたので、車輪が取り外すことが

できます。

ではホイールからタイヤを外します。まず「ムシ」を外します。バルブキャップ、

袋ナットを外して、ムシを取り外します。またリムナットも外します。

購入したタイヤレバーを、ホイールリムとタイヤビードの隙間に差し込み、タイヤ

ビードの端を露出させます。

同様に、タイヤ半分の領域であと2か所のタイヤビードをタイヤレバーで露出させ

ます。

ここまでくると、残り半分のタイヤビードも手で外れます(片面のみです)。

次にバルブ部分をホイールから抜き、そこを起点にタイヤチューブを引き抜きます。

チューブを外すと、ホイールに残っているタイヤビードの片側も簡単に外せますので

これでタイヤが完全に外れます。

露出したホイールの溝の底にリムテープが見えます。リムテープは、チューブが常時

接するスポークネジの突起部分で傷付かないように保護するものです。

既存のリムテープは特に傷はありませんが、若干硬化気味なのと、切れている(最初

から切れているのか劣化で切れたのか判断できず)ので、取り外しました。

新しいリムテープをホイールに取り付けます。リムテープには予めチューブを差し

込む穴が空いているので、そこをホイールの穴位置に合わせます。

ここで新しいタイヤの片方のタイヤビードをホイールに取り付けます。工具を使わず

手で取り付けますが、今回のタイヤには回転方向(進行方向)が決まっているので、

ホイールの左右とタイヤの回転方向を合わせるのがポイントです。

新しいチューブをタイヤの溝に入れていきます。事前にバルブキャップ、袋ナット、

ムシ、リムナットを外しておきます。そして、タイヤビードとホイールの隙間から

チューブのバルブ部分を潜り込ませて、ホイールのバルブ穴に差し込み、リムナット

を仮止めします。

ここを起点として、チューブをタイヤ内側の空間に入れ込みます。ここで、チューブ

にねじれが生じていないこと、およびビードに挟まったままの状態でない(タイヤ内

にチューブが浮いている)ことに注意します。後でチューブに空気を入れてもねじれ

や挟み込みが解消しない可能性があり、チューブに無理な力がかかってパンクする

恐れがあります。

ここで、ムシと袋ナットを取り付けて、チューブに軽く空気を入れます。これにより、

チューブの多少のねじれや挟み込みが解消できます。ただし極端なものは解消できな

いので、タイヤビードとホイールの隙間からチューブを目で見て、チューブに異常が

ないことを確認します。タイヤ交換の失敗を防ぐために、面倒でもこの確認は保険と

して確実に実施します。

OKなら袋ナットとムシを外してチューブの空気を抜き、外れている片方のビードを

ホイールにはめ込みます。固くてタイヤレバーでこじりたくなるかもしれませんが、

タイヤやチューブに傷が付くので必ず手だけではめ込みます。

だいぶ形になってきましたが、失敗防止のためひと手間かけます。バルブを一度指で

押し込んで(バルブが中に落ちないよう注意)、戻します。そしてバルブがホイール

に垂直になっている(バルブが斜めに刺さっていない)ことを確認して、リムナット

を手締めします(リムナットは工具で締めこむ必要がない部品です)。

改めてムシと袋ナットを取り付け、チューブに軽く空気を入れて、タイヤのリムに

付いている「タイヤライン」とホイールが重なっていないことを確認します。問題

なければ、正式に空気を入れます。タイヤ側面に適正空気圧が300kpaと書いてあり

ますが、ゲージがないので見当で加圧します。バルブキャップを付けて、前タイヤ

が完成しました。

このタイヤを自転車本体に取り付けます。基本的に、ナット・ワッシャーの順序・

方向に注意して、タイヤを外した時と同じように取り付ければいいのです。しかし

そう簡単にはいきません。タイヤビードの幅がブレーキ(正確にはシューでリムを

挟む「キャリパーブレーキ」)の隙間より太いため、タイヤがブレーキに引っかか

って固定位置に達しませんでした。仕方がないので、片方のシューを外し、タイヤ

を通した後にシューを元通り取り付けました。シューの取り付け時、シューがリム

にフィットする位置になるように注意し、確実にボルトを締めます。これで前タイ

ヤの交換が完了しました。




後タイヤの交換も、基本的に前タイヤと同じ手順です。ただし、後タイヤには変速

ギアが付いているので、タイヤの脱着手順が前タイヤの時と異なります。作業前に

ギアをトップ(6段)に入れておきます。後でチェーンを脱着する際に、トップ位

置の方が作業しやすいからです。

まず、左側面の「ハブナット」をモンキーで外し、一本スタンドを外します。

後タイヤに「脱輪防止ワッシャー」は付いていませんでした。ナットが緩んでも

脱輪しにくい穴の構造だからでしょう。

続いて右側面の「ハブナット」もモンキーで外し、ギヤガードを外します。

この段階で、ギアとチェーンのテンションにより車輪が勝手に本体から離れてい

きますが、チェーンが車輪のギアに噛み合ったままなので車輪は外れません。そ

こでチェーン持って車輪のギアから分離します。手が潤滑油で汚れて滑ったりけ

がするので、必ず手袋をします。これで車輪が取り外せます。


これでタイヤを交換します。作業は前タイヤ交換と同じですので、途中の写真は

省略します。

このタイヤを自転車本体に取り付けます。前輪同様、タイヤを外した時と逆順で

取り付けます。後輪もキャリパーブレーキなので、予め片方のシューを外してお

き、タイヤを通してシューを元通り取り付けます。手袋をした上で、チェーンを

車輪のトップギア位置に噛み合わせた状態にして、車輪を取り付け位置に誘導し

ます。なかなかうまくいきませんが、粘り強く作業します。これで後タイヤの交

換が完了しました。


ということで、前後ともタイヤ交換が完了しました。


試乗して問題なく、数日後も空気が抜けていないことを確認しました。なかなか

良い乗り心地です。これで10年ぐらいはこのタイヤで自転車に乗り続けられる

でしょう。今回の修理で、自転車の構造がよくわかりました。では。

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