2023年9月27日水曜日

ラジオはソフトで聴く時代

 こんにちは。技術部のチュータローです。

若いころからラジオが好きです。ラジオを聴くことはもちろん、ラジオの中身や

電波、送信所、放送局まで興味があります。今回はラジオの中身の話を取り上げ

ようと思います。


今回のタイトルは「ラジオはソフトで聴く時代」。今さらラジオか、という感じ

ですかね。今は、自分の興味のある・知りたい情報をネットで収集して見る時代。

その逆を狙って薄く広い情報が勝手に耳に入ってくる「放送」メディアは、もはや

斜陽産業。テレビはまだしも、音しかないラジオはジリ貧です。でも、ラジオは

知らなかったいろいろな情報を教えてくれたり、笑い・感心・安心など得られ、

聞けば聞くほどいい情報源だと思います。今後減りはするものの生き残るメディ

アだと信じています。

話しが逸れてしまいました。スマホのソフト(アプリ)で情報をネットから得る

時代に古典的なラジオですが、ソフトを使って技術進化しているとのこと。興味

深いと思い、素人ながら、調べたことを書いてみます。


あ、ソフトでラジオを聴く、というと、一般的にはネットラジオといって、専用

のアプリかブラウザーでラジオ放送を聴くことを言いますが、ここでは、空飛ぶ

電波を受信してリアルタイムで放送を聴く従来のラジオのことを指します。


ラジオは、基本的に(電気的な視点で)アナログの世界です。電磁波である電波

を高周波電圧に変換し、その増減を人が聴ける低周波電圧に変換したものを音に

変えます。従来、これらいくつかの変換の大部分を、トランジスタ、ダイオード、

コンデンサー、抵抗器、コイルといった電気部品の電気的特性を利用し電気回路

を組むことにより実現しています。これはデジタル技術がほとんどなかった古い

時代に考案され発達した技術です。この電気回路は、特定の種類の電波専用の

ものですので、異なる種類を受信するにはそれ毎に受信回路を用意する必要が

あります。


その後、デジタル技術の発達により、アナログ信号をデジタルに変換することが

容易にできるようになり、ラジオの中身をデジタル(ただし復元された音を扱う

部分は従来通りアナログ)に置き換えて同じ機能を実現できるようになりました。

デジタルに置き換えると、その制御をソフトウェアに担わせることが可能となり

ます。こうして、デジタルとソフトウェアによりラジオを構成できるようになり

ました。これをソフトウェア無線=Software Defined Radio(SDR)と呼びます。


SDRは、ひとつのハードウェアがあれば、ソフトウェアを書き換えることにより、

受信する電波の周波数帯や変調方式(FM・AMなど)を変えることができます。


SDRは、1970年代に米軍が軍事技術として研究を始めたもので、1990年代には

民間でも研究が始まったという、まだ歴史が浅く今も発展途上の技術です。


SDRは、理想的にはアナログ・デジタル変換器と音声回路以外は全てデジタル

回路で実現されるべきですが、使い勝手のいい高い周波数の信号を扱う場合は

短時間に大量の情報処理ができるデジタル回路とソフトウェア(つまりコン

ピューター)が必要です。少し前までのPCではそれが難しかったですが、最近

のコンピューター(PCやスマホ)では普通に使えるようになったこともあり、

SDRが急に身近になってきました。ただ、現状のコンピューターでもソフト

ウェアだけでは処理しきれない部分があり、専用のデジタル回路が担って

いて、その部分はハードウェア依存となっています。今後の技術進歩により、

ソフトウェアで扱える部分が増えてくると思われます。


現状の一般的なSDRの構成例です。

出典:https://jm1xtk.com/cnt/43_sdrsharp/index.php


ここで挙がっている「RTL-SDR」というSDRドングルは、ネットで5000円くらいで

入手できます。ソフトは無料で入手・利用できるものがいくつかあります。PC

での画面例を示します。ちょっとマニアックな画面ですが、高級な受信機の機能

がソフトで実現していることがわかります。また、聞こえている現在の周波数以外

にもいろいろな電波が飛んでいることが目でわかるのが新鮮です。

出典:falconblog

   ソフトウェア無線 SDR#(SDRsharp)のインストール手順

   https://falconblog.org/sdr-sharp-realtek-install/


ちょっと専門的になりますが、従来のラジオとSDRの構成の違いを示した図です。

出典:日本アマチュア無線機器工業会

   初心者でもわかる!?SDR(ソフトウェア無線)大研究

   https://www.jaia.or.jp/shiryo/


ちなみに、SDR技術を使って、コンピューターなしで、デジタル回路とソフト

ウェアを1チップICで実現した部品が、安いものだと数百円で売っており、

これを使うと高機能なラジオがとても安価に作れます。最近の市販のラジオや

ラジオ内蔵の機器にも結構使われている様です。

出典:前の図と同じ


ということで、今回はSDRについて書いてみました。そんな安く簡単にSDRが使える

のに、私はまだ手に入れていません。時間があればぜひやってみたいと思って

います。では。

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