2024年1月15日月曜日

針が外れた掛け時計を修理してみた

こんにちは。技術部のチュータローです。

我が家の掛け時計、家人が掃除の際に手を滑らせて、床に落としてしまいまし

た。

この時計、もう10年以上稼働しているお年寄りですが、故障せず動作していま

した。正面がガラス板ですが、強運にも落下で割れておらず、その他のボディー

も目立たない部分に小さい傷が付いただけでした。でも針が取れてしまったの

でこのままでは使い物になりません。落下後も、電池が入った状態では「カチ

カチ」と時を刻んでいる音がしているので、機構部分(ムーブメント)は壊れ

ていない可能性が高いです。従って、針を付け直せば引き続き使えそうです

ので、修理してみることにしました。


ところで、裏側のムーブメント部分を触ってみると、左右にグラグラ動いてし

まいます。普通ならムーブメントは固定されているはずなので、落下で固定

できなくなったかもしれません。今の状態だと針がグラグラ動き、文字盤と

こすれて針が狂ってしまう恐れがありますので、ムーブメントをどう固定する

か考える必要があります。そこでまずムーブメントを外してみます。本体とは

ムーブメントの上下と爪で固定されているので、爪を広げながらムーブメント

を外します。


取り外した面を見たところ、本体側に突起がいくつかあり、そのうちの2個

の突起面に破断跡がありました。ムーブメント側にはその突起が入り込むと

思われる穴があり、ここでムーブメント位置を固定していたのが突起が折れ

て固定できなくなったと思われます(上の写真の赤矢印部分)。


突起を復元できるでしょうか。突起の断面積が小さいので、接着剤は利かな

いでしょう。ならば、太くて短い針金を熱して当該位置に刺すと突起が再現

できるかもしれません。その場合、適当な太さの針金を用意する必要があり、

また本体に刺す際は一発勝負で失敗が許されません。これはちょっと自信が

ありません。

他にいい方法は・・・と考えた結果、両面テープで固定するのが妥当、とい

う結論に至りました。ただ、本体側に3つの低い突起(ムーブメント固定に

は関係しないもの)があり、ムーブメントが若干浮いた状態で固定されてい

た様です。ムーブメント側に、接触部分がこすれて灰色になった部分がある

ことからも、それがわかります。そこで、厚手の両面テープを使用すること

にしました。ちょうど自宅のストックで厚さ1mm程度の両面テープがあった

ので、これを使用することにしました。この厚さで隙間がカバーできないか

もしれないので、念のため普通の薄手の両面テープも併用して隙間を埋める

ことにしました。

両面テープを貼ってムーブメントを本体に取り付ければ固定できるのですが、

取り付けは一発勝負となるため、後から位置を微調整できません。現状、

ムーブメントは横方向にグラグラ動く状態のため、両面テープを貼る前に

ムーブメント取付位置を特定しなければなりません。そこで、メンディング

テープで位置決めしておきます。

そして、本体側に厚手の両面テープ、ムーブメント側に薄手の両面テープを

貼って、ムーブメントを本体に取り付けます。


ムーブメントの軸が本体の穴の中心に来ており、ムーブメント固定は成功

しました。


あとは針の再取り付けだけです。本体裏面のネジ4こを取り外し、本体の

表側と裏側を分離します。

ムーブメントの軸に、短針、長針、秒針の順ではめ込みます。12:00:00の

位置にできるだけ綺麗にはめ込みます。

ムーブメントの時刻調整ダイヤルを回して、長針・短針がちゃんと動くこと

を確認した上で、電池を入れて秒針を含めて全ての針が動き始めることを

確認します。

本体表面・裏面をねじ止めして、完成です。

時計を振っても特にがたつき等の不良もなく、修理完了です。これで以前と

同じように時計が使えるようになりました。引き続き末永く使っていきたい

と思います。では。 

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