2022年7月28日木曜日

電波時計をパソコンやスマホで合わせる!?

 こんにちは。技術部のチュータローです。


柱時計、卓上時計、腕時計などで「電波時計」を謳うものが最近多いですよね。しかも

安価に入手できます。しかし、時計の置き場が建物の奥だったり、時計の近くにノイズ源

となる電化製品があったりすると、時刻が補正されず、日に日にどんどん時刻がずれて

いきます。

そういう場合は、時計を窓際に移動して強制受信すればたいてい時刻が補正できますが、

窓際でも電波がうまく受けられない場所もありますし、たまには電波が弱い日もあったり、

地形的に電波が弱い地域もあるでしょう。さらに(滅多にありませんが)電波の送信所が

運用停止することもあります(大規模停電や大地震などによる)。そんな時は、何度強制

受信しても時刻補正できず、イライラします。


そんな時、手元にあるパソコンやスマホで電波時計が補正できたらうれしいですよね!

でも、基本的に電波時計にパソコンやスマホをつなぐ機能が付いているものなど、見た

ことがありません。

でも、結論としては、どんな電波時計でも、それが可能なんです。


ネットで検索すると、既に以前から広く知れ渡っていた様ですが、私はたまたまこのこと

を最近ネットで知りました。最初は半信半疑でしたが、試したら簡単に時刻補正が出来て

しまい、驚きました。これを最初に考案された方は、本当にすごいアイデアの持ち主だと

思いました。


そもそも電波時計というのは、国立研究開発法人情報通信研究機構の日本標準時プロジェ

クトが管理運営を行っている標準電波(コールサイン:JJY)を受信して、時刻やカレンダー

を自動修正する時計です。情報通信研究機構の時計は、10万年に1秒の誤差といわれる

セシウム原子時計で、究極的に正確です。この時計情報を基に、モールス信号的な方法で

時刻とカレンダー情報を電波に乗せています。送信所は、日本国内に2か所あり、福島県

大鷹鳥谷山のおおたかどや山標準電波送信所(送信周波数40kHz)、福岡県・佐賀県県境

にある羽金山のはがね山標準電波送信所(送信周波数60kHz)です。40kHzや60kHzと

いう無線周波数(長波帯)は、AMラジオ放送の周波数531kHz~1620kHzよりずっと低い

周波数帯で、日本ではラジオ放送には使わておらず、船舶や航空機の航行位置測定などに

用いられています。長波帯の電波は、地上を這うように長距離に届く性質があり、これを

利用して電波時計の補正が行われています。


さて今回、パソコンやスマホで電波時計を補正するのに「JJYシミュレーター」というWeb

サイトを用います。

  https://shogo82148.github.io/web-jjy/

このサイトは、JJYのモールス信号的な時刻・カレンダー情報をパソコン・スマホの内蔵

時計情報から生成し、13.333kHzの音声信号としてスピーカーから出力するものです。

この音声をパソコン・スマホからわざと大音量で出すと、たいてい歪んで汚い音になるの

ですが、この歪み音は13.333kHzの整数倍の音が重なったものであり、3倍にあたる40

kHzの音も含まれます。この歪んだ音をイヤホンから出すと、イヤホンケーブルから40

kHzの弱い電磁波(=電波)が漏れ出します。この電磁波を電波時計で受信させることで、

電波時計がJJY(40kHz)で時刻補正できる、というのが原理です。音を歪ませること、音声

を電波に変えること、を利用するとは、私は思いつきませんでした。

(パソコン・スマホは、一般的に20kHz程度までの音声しか出力できないため、直接40

kHzの音は出力できず、そうした裏技的な対応で40kHzの音を出そうとしています)


前置きが長くなりました。実際に試してみます。

これが今回のお試しシステムです。

ブラウザーでJJYシミュレーターを表示したパソコンのイヤホンジャックに、イヤホンケー

ブルを接続し、それを電波時計に巻きます。パソコンの音量は最大にします。パソコン

本体からは電波ノイズを多く出しますので、イヤホンケーブルを延長し、パソコンから

離れた場所に電波時計を置いてイヤホンケーブルを巻きます。イヤホンからモスキート音

が出ますが、我慢します。

※今回使用した電波時計は、赤丸部分に「OK」表示がなければ、電波による補正ができて

 いない状態であることを示しています。

電波時計で強制受信を始めます。

電波時計で受信状況を表示できる機能があれば、それを見ながらイヤホンの巻き方を調整

してよく受信できるようにします(写真左:電波弱、写真右:電波強)。

この状態で数分~十数分待ちます(時計により待機時間が異なります)。今回使用した

電波時計では、7分程度で補正が完了しました。

イヤホンが必要なこと、パソコンと時計を離すこと、パソコンからモスキート音が出る

こと、時計へのイヤホンケーブルの巻き方に調整が必要なこと、といったところが難しい

かもしれませんが、比較的簡単ではないかと思います。電波時計の時刻補正にお困りの

方は、ぜひお試しください。


では。

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