2023年3月29日水曜日

奥深いラジオ・無線の世界

 こんにちは。技術部のチュータローです。

いつも修理ネタで登場しておりますが、今回は趣味の話題を。


今はスマホ・ネット・WiFiがライフライン。これで何でも情報収集できてしまうし、

ないと生活できないと言っても過言ではありません。それらが影も形もなかった1970

年代、私が小学生高学年の頃、家にあったラジオを自由に使わせてくれるようになり、

私にとってラジオは情報の宝庫であり、また格好のおもちゃでした。

地元のラジオ局の番組を聴いて、歌謡曲を覚え、DJのしゃべりに笑い共感し、近隣で

イベントがあれば足を運んで思っていた顔と違っていてびっくりしたり。曲のリク

エストもしたかったのですが、家電で電話する勇気が出ず、電話代に怒られそうで、

しませんでした。ちなみに、半世紀後の今、スマホ使っている今もラジオ番組を聴く

習慣は日常です。


ラジオは、世間を知る入口として好奇心を満たしてくれましたし、別の好奇心も与え

てくれました。ラジオのダイヤルを回すと、地元以外の遠い放送局が聞こえたり、

何やら知らない外国語まで聞こえます。電波はそんな遠くまで届くのかと感心します。

ネットがない時代、様々な情報が手軽に手に入るラジオというメディアにはウキウキ

感がありました。

今は大量の情報が手に入るネット・スマホで事足りるので、敢えてラジオを聴く必然

性はないかもしれませんが、ラジオならではの楽しみも結構あるのです。


同じ頃「BCL」ブームがありました。BCLとはBroadCast Listeningの略で、放送を

聴いて楽しむ趣味のことです。BCLは、なるべく遠くの弱い電波の放送局を聴くこと

に価値があり、いろいろな受信テクニックを工夫し苦労して聴くことで趣味を深堀り

できます。


普通のラジオでもBCLは楽しめますが、当時BCLを解説した書籍を読んでみると、BCL

の主なターゲットは、短波を使った海外からの放送を受信するのが中心だということ

がわかりました。短波とは・・・普通のAM(正確には中波)ラジオより高い周波数帯

のことで、遠距離まで電波を飛ばすのが得意です。ただし受信には短波ラジオが必要

です。自宅には古い短波ラジオがあったので、さっそくこれを使って聴いてみました。

受信は結構難しいです。中波ラジオより7倍以上の周波数帯域の中から、指定された

1つの周波数を大雑把なチューニングダイヤル(周波数が正確に読めない)で選び、

また聴こうとしている海外の日本語放送は1日に1時間程度しかやっていない。そも

そも電波がとても弱い。従って中波ラジオで地元局を聴くのとはまるで違う難しさ

でした。苦労して、北京放送やラジオオーストラリアなどの日本語番組が受信できた

ときは、嬉しかったです。


もっと弱い電波を受信したかったので、手軽にできる手段として、ラジオ外にアンテナ

を増設することを試しました。長い金属が良く、カーテンレールや水道管とかに電線を

絡め、ラジオのロッドアンテナに沿わせると感度が上がりました。最終的には、近所

の電気店で10mくらいのビニール線を買って、屋根の雨どいに沿ってビニール線を

張ってラジオにつないで聴いていました。


しかし、使用していた短波ラジオは原始的なもので、チューニングダイヤルと音量

ボリュームとイヤホンジャックしかなく、BCLを楽しむには明らかに役不足でした。

一方、当時世の中には「BCLラジオ」と呼ばれるものがありました。周波数が正確に

読めたり、受信感度が高かったり、ノイズを軽減できたり、カセットに録音できたり

して、とても欲しかったですが、10万円以上するのでとても手が出ませんでした。


自分でBCLラジオを作れるかもと思いました。いろいろな電子工作の雑誌を見ては、

パーツ屋さんで部品を買って、作ってみました。しかし自作できる程度の簡単な

ラジオは、感度が悪く混信して使い物にならず、断念。


そして使っている古い短波ラジオは、チューニングダイヤルがあまりに大雑把で、

おまけに劣化でダイヤルが滑ったりして、選局にイライラしました。そこでダイヤル

に新たなギアシステムを追加しようと改造を試みたものの失敗、使えなくなってしま

いました。中学生の頃、親に粘り強く説得し、ソニーの「ICF-2001」というBCLラジオ

を買うことができました。約5万円でした。

周波数がデジタル表示で、選局ダイヤルがなくテンキーで周波数を入力するという、

当時世界初の技術を搭載していました。感度も高く、感激しました。受信できる周波

数も、150kHz~30MHz、76~108MHzと幅広く、時間があれば全周波数をスキャンして

飛んでいる電波をかたっぱしから聴いていました。


興味は、ラジオを聴くに留まらず、その後電波を出す「アマチュア無線」にも広がっ

ていきます。この部分は、機会があればまたいつか。


ちなみに、どの周波数にどんな目的の電波が飛んでいるかは、全世界的な枠組みの

もとで各国の政府が決めています。日本では総務省が以下の定義を定めています。

https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/myuse/summary/index.htm

当時家にあった、学研の図鑑「電気」にこれに近い表が載っており、これを眺めては

どんな無線がどんな周波数で使われているか調べたものです。使っていたラジオでは

放送だけでなく、様々な業務の無線も聴けることがわかりましたが、聴けるのは広

大な周波数の一部でしかないことを残念に思いました。もっといろいろな電波を聴き

たいという気持ちになりました。


今回はここまで。では。

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