2023年3月1日水曜日

「リカちゃんキッチン」の音が出ない故障を修理してみた

 こんにちは。技術部のチュータローです。


娘のおもちゃとしてネットオークションで買ったリカちゃん関連商品「レンジで

チーン♪ひろびろキッチン」を修理しました。

このおもちゃは、お馴染みリカちゃん人形の関連(別売)商品で、人形と共に遊

べるキッチン模型として2016年に発売され、既に販売終了となっています。希望

小売価格は¥4,950で、現在新品で売られているものは、ネットで1万円台の値

が付いています。商品の外箱にあるように、このキッチンは電池を入れることに

よりいろいろな音が出るところが特徴です。今回オークションで買ったものは、

音が出ないと断ったうえで2千円くらいで売りに出されていたものです。修理

して音が出ればラッキーですが、最悪音が鳴らなくても綺麗な状態なので充分遊

べそうということで、購入しました。


実物を確認します。キッチン裏の電池ボックスを見ると、単三電池3本が入るよう

になっており、そのうち真ん中の電池のマイナス側の電極が液漏れで激しく腐食

していて、ちょっと力を入れたら折れてキッチンの中に入ってしまいました。音が

出ない最大原因はこれでしょう。電池を入れっぱなしで使わずに長期間放置すると

起きる、あの現象です。使わないときは電池を外せばいいのでしょうが、電池ボッ

クスにねじ止めの蓋が付いている今回のキッチンは、いちいちネジを外して電池を

取るのも面倒ですよね・・。気が付いたら液漏れで音が出なくなってしまい、

がっかり、ということでしょう。電子回路が壊れていなければ、電極を修理すれば

復旧できるかもしれません。新品でないので、安心(?)して手を加えられます。


そこでまず、現状を確認します。

折れた電極の回収と配線状況の確認のために、キッチンの裏ブタを外します。裏ブタ

を固定する6個のネジを外し、空いた隙間からドライバーなどでゆっくり裏ブタを

こじ開けました。結構がっしり止まっていて苦労しましたが外れました。折れた

電極を回収すると共に、電池ボックス裏側が露出しました。

折れた電極と同様、その根元の残存部分も全部腐食していました。この電極を再

利用するのは諦めて、新たな電極を取り付けることを考えます。

元の電極は、電池のマイナス側に接する板バネ形状で、本体とは「カシメ」で固

定されており、専用設計されたものの様です。ネットには類似の形状の電極は見

つかりませんでした。大きい金属板を買って、目的の電極形状を切り出すと目的

の電極が作れそうですが、適切なバネ性能を出せる電極となる金属板を選ぶ難しさ

と、金属板をきれいに切断する難しさに自信がありません。この方法はペンディ

ングとします。

他の案として、よく見かけるコイルバネの電極を組み込むことを考えました。

電池ボックスの中で並んでいる電池3本のうち、両端2本が板バネで、真ん中の

1本だけコイルバネなのは見栄えが悪そうなものの、組み込むための加工はコイル

バネの方が確実に簡単です。バネの端を、カシメの孔を流用してねじ止め固定

すれば、何とか収まりそうです。

ネットで「電池ばね」検索するといろいろ出てきますが、最低数百円もします。

百円ショップで買えるくらいのものがいいのですが・・。たまたま立ち寄ったヨド

バシカメラ町田店で、工作用電池ボックス¥112を見つけました。安いし、

ここからコイルバネの電極を取り外して移植できそうだったので、購入しました。

この電池ボックスから、電池の+と-両方が接触する方のばねを取り外します。

+極は「カシメ」金属で、外したらねじ止めにちょうど使えそうな輪っかが現れ

ました。

これは使えそうです。板バネ再生は諦め、バネ電極方式を採用することにします。

電池ボックスに残っていた元の電極を除去し(固定していた「カシメ」を外す)、

新しい電極の固定用穴として使えるようにしました。元の電極は、金属腐食で

ものすごいことになっていました。液漏れの液は、相当強いアルカリですので。

新しいバネ電極を穴に通してみます。

針金の先のループが穴位置付近に来そうなので、折り曲げて加工してみました。

これで穴位置でバネ電極をねじで固定する目途が立ちました。ここで、元の

電極につながっていたリード線をバネ電極につなぎます。しかし元のリード線

はバネ電極に届かない長さのため、再利用はせず、手持ちの部材を使って新しい

リード線をはんだ付けします。

近所のホームセンターで購入したM2のネジとナットで、バネ電極を固定します。

リード線の先を隣の電池の電極に接続して、バネ電極の組み込みは完成です。

他の電池2本の電極と新しい電極の形が揃っていませんが、ちゃんと使えさえ

すればいいので・・。電池を入れます。特に無理もなく、ちゃんと入りました。

動作確認します。確認手段は音だけなので、写真はありません・・。

電源スイッチを入れると、水滴が落ちたような「ポトッ!」という音が出ま

した!各所の押しボタンを押すと、蛇口から水が出て閉める音「ザー・

キュッ」、コンロの鍋から出る音「グツグツ」、オーブンレンジの動作音

「グーン・チーン」(昔のレンジは、皿が回り、タイマーが切れるとチーン

でしたね、懐かしい!)、など、外箱の写真通りの音が出ました。電子回路

は問題なく動作しました。電子部品が壊れていなくて良かったです。


あとは、キッチンを元通りに組み立てれば完成です。裏ブタをねじ止めすれば

いいのですが、うまく入りません。よく見ると、キッチン上部が外れた状態で

ないと裏ブタが固定できない様です。そこでネジ8個で止まっているキッチン

上部を外しました。シールで隠れたネジがあったので、そのシールを丁寧に

剥がすのが少々面倒でした。電子回路はこのキッチン上部にねじ止めされて

います。

改めて、キッチン裏ブタをねじ止めし、キッチン上部をねじ止めして完成です。

こうして、このキッチンは仕様通り使用できるようになりました。娘はとても

喜んで遊んでいます。良かったです。

今回は仕上がりが結構綺麗にできたと思います。他にも、電池の液漏れ事件は

たまに起きるので、その際は今回の事例を参考に修理してみようと思います。


では。

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