こんにちは。技術部のチュータローです。
妻が、ネットオークションで手芸用アイロンを入手したが、電源を入れても動作しない
ので見てほしい、とのこと。
手芸用アイロンという存在を初めて知りました。1998年製、長さ26cm・横6cm、80W。
普通のアイロンがけには非力ですが、手芸作業時のごく狭い領域のしわ伸ばしに
便利とのこと。いわゆる鏝(コテ)の形をしたタイプが欲しいがメーカーの現行製品
には存在しないため昔の中古品を入手したとのこと。「通電確認済み」とあったそう
ですが、結果的には故障品をつかまされました。
返品もできる様ですが、入手しにくい製品なので、直して使えるならそうしたい、
との妻の希望で、とりあえず分解して状況を見てみることにしました。
ちなみにコンセント部分にテスターを接続してスイッチ(温度調整のスライド機能
を兼ねる)を動かしても、電線をいろいろ動かしても、抵抗値は∞(導通なし)で
した(写真はありません)。断線している可能性が高いです。
※お断り
以下の内容は、個人での修理をお勧めするものではなく、この文章を基に修理したこと
により発生した、如何なる負傷・損害等の責任は負いません。
一般的に、温度ヒューズが交換されるように機器は設計されていません。また温度
ヒューズが切れるほどの異常加熱が発生すると、機器の絶縁が劣化している可能性が
あります。
もし個人で機器を分解・再組立てし、また温度ヒューズを交換するなどして修理する
場合は、メーカー保証を受けられず、異常動作する可能性もありますので、自ら
リスクを負う必要があります。
それでは、分解します。外してほしそうなネジがハンドル裏部分に1個。
これを外しましたが、これだけでは分解しませんでした。よく見ると、外せそうに見
えたスイッチ周りのカバーを注意深くこじ開けて外すと、もう一つネジが現れました。
このネジを外すと、本体上部が簡単に外れました。電源端子と耐熱被覆線が現れました。
ここで発熱体を固定している3本のネジと、耐熱被覆電線を止めている2本のネジを
外すと、本体下部から発熱体が外れました。中央の黒い歯車の下の部分は、温度調整
スイッチを動かすと回転する、いわゆるサーモスタットです。歯車は外します。発熱体
の右端で、白い短い円柱2個が上下にあるのは、ニクロム線の両端ですね。そして、
発熱体右下に横たわる白く長い部分は絶縁体のチューブで、その中に温度ヒューズが
隠れています。
それでは、この発熱体の断線箇所を調べます。サーモスタットを回しながら耐熱被覆
電線の両端をテスターで測ると、抵抗値は∞(導通なし)でした。この発熱体のどこか
に断線箇所があります。
次にサーモスタットの両端をテスターで測ります。回転部分をある程度回すと導通しま
した。サーモスタットは生きています。
次に温度ヒューズの両端をテスターで測ると、抵抗値は∞(導通なし)でした。ヒューズ
が切れています。これが故障原因でした。なお、写真を撮っていませんが、ニクロム線
両端を測定すると抵抗値があり、ニクロム線は生きていました。
温度ヒューズのリード線片側のネジを外して被覆を取り、温度ヒューズを露出させました。
この温度ヒューズの印字を見ると、仕様は228℃・250V・10Aでした。温度ヒュ
ーズは通常は銀色ですが、この部品は茶色に変色しています。過熱で正常に切れたのでしょ
う。温度調整を最大のまま長時間放置して切れたのでしょうか。アイロンですので、使い方
には要注意です。
温度ヒューズの片側は圧着スリーブでニクロム線と接続しています。圧着スリーブを緩める
のは無理だったので、圧着スリーブを含めて温度ヒューズをニクロム線から分離しました。
新しい温度ヒューズをネットで探すと、228℃品は見つかりませんでしたが、ELPAから
226℃・250V・10Aが2本入りで小売りしているのを発見しました。2℃違って
いますが、低い分には使用上安全だと考え、ヨドバシカメラで\275で購入しました。
温度ヒューズリード線片側をねじ止めし、被覆を付けます。もう片方のリード線は圧着
スリーブでニクロム線と接続します。
発熱体の耐熱被覆線の両端をサーモスタットを回しながらテスターで測ると、127Ω
でした。100Vだと78Wとなりますので、このアイロンの仕様とほぼ一致しました。
元通りに組み立てて、電源を入れると、無事発熱体が発熱し始めました。加熱される
まで待って、布をアイロンがけしてみました。しわが伸びました。修理完了です!
妻によると、今のところ問題なく使えているそうです。家庭平和に貢献!
以上です。
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