2022年3月7日月曜日

カセットデッキの修理

 久々にお目にかかります。技術部のチュータローです。


'80年代の小学生(高学年)時代から社会人になってしばらくの間、オーディオカセット

(以後カセット)を多用していました。ラジオ好きだった私は、ラジオ番組をカセットに

録音して、何度も聞き直して楽しんでいました。またレコードを買うほど小遣いがなかった

こともあり、ラジオから流れてきたお気に入りの音楽をカセットに録音して、オリジナル

のミュージックカセットを作っていました。今では死語の「エアチェック」ですね。特に

年末年始は、一年のヒット曲を振り返る音楽番組が多く、FM雑誌(これも死語?)を

買って、録音したい曲が流れる番組を選んで待ち受け録音していました。車でお気に入り

カセットを聞きながら運転するのは、とても心地よかったです。


ネットでありとあらゆる音楽や番組が聞ける今は本当に恵まれていますね。もっとも、

そんな現代で当時の情熱が起こる余地はもうないでしょう。

(ただ、最近カセットが見直されてきているという話も聞きます)


実家には当時録音したカセットが山ほど残っています。最近、久しぶりにそれらカセットを

聞きたくなることがよくあり、10数年くらい前に購入し、もう何年も使用していなかった

カセットデッキ(ソニー TC-RX300)を久しぶりに動かそうとしました。


幸い電源は入るものの、再生や早送りなど可動動作がすべて死んでいます。もう古い装置

ですし寿命かなとは思いましたが、治せるものなら喜んで治すのが私の主義ですので、

まずはネットで調べました。感心なことに、古いカセットデッキにも関わらず、修理に

関する情報が結構見つかります。要は、(電気的故障でなければ)ゴムベルトの劣化に

より、モーター回転がメカに伝わらないという不具合が多いということ。このゴムベルト

はウレタンゴム製であり、10年も経つと加水分解してドロドロに溶けるため、交換が

必要とのこと。修理としては、本体からカセット機構部分を取り出して、劣化したゴム

ベルトを除去し、新品のそれを所定の位置に取り付けて、元に戻す、という手順。

必要なゴムベルトは、断面が平型φ65×0.5×5と、断面が角型のφ22×1.6T、の2本と

いう詳細情報も入手できました。


ゴムベルトの入手は、大手通販サイトなど様々なところで売られていますが、高価な

ものの高い品質と品種の多さの点で「千石電商」さんからネット購入しました。

https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/search.php?cid=3623

ちなみに、ゴムベルトとして普通の輪ゴムを使うと、1年もしないうちに劣化して使えなく

なります。ボロボロ・ベトベトになって機構に挟まったり固着すると取り出すのが大変に

なりますので、代用厳禁です。


こうして準備ができたところで、カセットデッキを分解します。

まず天面・左右側面を覆う板金を外します。次にフロントパネルにつながっているケーブル

すべてをコネクタ部分で外します。そして、底面にねじ止めされているフロントパネルを

外します。


中央のカセット機構部分の一番上に載っている基板に接続されている青色コネクタを外した

上で、その基板と直下の白色樹脂部分を、カセット機構から外します(赤丸のネジ

3か所)。


すると、劣化したゴムベルトが見事にドロドロに溶けてプーリーなどに絡みついていま

した。赤丸が溶けたゴムベルトの断片です。


この劣化ゴムベルトを丁寧にアルコール・ウエスなどで拭き取ります。小さくて入り組んだ

所にゴムがこびりついているので、拭き取りは根気と丁寧さが要ります。何しろ、黒いネバ

ネバなんです。指もかなり汚れます。

劣化ゴムベルトが除去出来たら、購入した新しいゴムベルトを所定位置に掛けます(一部

仮掛け)。



基板・白色樹脂部分を元のカセット機構に接合します(ネジ3か所)。

外していた青色コネクタを元通りに接続します。

そして、仮止めしていたゴムベルトをプーリーに乗せます。



フロントパネルを底面でネジ固定します。フロントパネルから出ているケーブルを全て本体

に接続します。最後に天面・左右側面を覆う板金をねじ止めして修理完了です。

電源を入れて、カセットを入れて再生ボタンを押します。無事再生できました。


このように、ゴムベルトのサイズを確認して購入し、分解し、清掃し、所定位置に

セットし、組み立てれば、この手の故障は修理できます。ネットを最大限活用することで

修理できました。昔のカセットをファイル化して楽しもうと思います。


以上です。


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