2025年6月25日水曜日

テスターでコンセントを測ってみた

こんにちは。技術部のチュータローです。

今回は身近なコンセントをテスターで測ってみます。

テスターは、回路計とかマルチメーター(multimeter)とも呼ばれる計測器で、

電気工作でよく用いられます。当社でもグローブボックスや精製装置などの組み

立てで、電気部分の動作確認に必ず使用しています。こちらの写真は個人持ちの

ものです。

今回はこのテスターで自宅のコンセント(AC100V)を測ってみます。コンセント

には「L」「N」という極性があります。Lは非接地側(Live)、Nは接地側

(Neutral)です。場合によっては更にアース極付きのコンセントもあります。

出典:電源ナビ https://dengen-navi.com/wp/article/switching-dengen-tukaikata/ac-l-n/


コンセントをよく見ると、長い穴の極と短い穴の極があります。長い方が「N」、

短い方が「L」と決められています。

では「L」「N」とは何者でしょうか。ちょっと難しいかもしれませんが説明します。

出典:北海道でんき保安協会 https://www.hochan.jp/consumer/zukai/


ほとんどの家庭は、電柱から3本の電線で電源が供給されています(単相3線式)。

配電盤の契約用安全ブレーカーや漏電ブレーカーにはこの3本が接続されてい

ます。線の色は黒・白・赤と決まっており、それぞれ「L1」「N」「L2」と呼んで

います。この3線から「L1」「N」または「L2」「N」を取り出してコンセントに

配線するとAC100Vが得られます。また「L1」「L2」を取り出すとAC200Vが得られ、

こちらはよく大容量のエアコンで使用することが多いです。

「N」は、電柱のトランスから出力された際にアースに接続され、別名「中性線」

とも呼ばれています。

コンセントにたまに付いているアース極は、分電盤以降の部分で建物のアースに

接続されています。

「N」とアース極は性質が似ていますが、アースされている位置が違っており、

漏電を検出できるようにするために、「N」をアース極で代用したり、逆にアース

極を「N」で代用してはいけないことになっています。


ということで、コンセントの「L」「N」アース極が正しく配線されていることを

テスターで確認できるか調べてみます。


【注意】

・一般的に、コンセントの極性を確認するには、「コンセントテスター」

 (コンテスターとも言う)「検電テスター」(検電器とも言う)を使用

 します。今回はそれらの代わりに手持ちのテスターで測定できないか確認する

 ことを目的としています。

・今回は宅内配線に直接テスターのプローブを当てて測定しています。測定の

 際は、感電やショートしないように十分注意する必要があります。また

 宅内配線に手を加えるには電気工事士資格が必要です。


テスターは、必ず交流電圧測定モード(ACV)にします。それ以外のモードで測定

するとテスターが故障しますので注意が必要です。また、できればmVレベルが

測定できるものがいいです。交流電圧測定モードの場合、テスターのプローブ

(赤・黒)の区別はありません。


コンセントの「L」「N」間を測定すると、通常なら100~105V程度となります。

アース極があるコンセントで「N」とアース極間を測定すると、0Vに近い値と

なります。

アース極があるコンセントで「L」とアース極間を測定すると、「L」「N」間と

ほぼ同じ値となります。

ここまでの測定の結果、テスターで「L」の特定は可能ということになります。

「N」とアース極は同じ挙動を示すため、正しいか逆かは確認できません。

ネットで調べたところ、完全に正確とは言えませんが簡易的に確認する方法が

ありました。テスターのプローブの一方を手で握り、もう片方を端子に当てる

方法です。感電の心配は無用です。


「L」「N」アース極についてそれぞれ測定してみます。

電圧の値は、L>N>アース極の順となります。

プローブを手で握る具合により電圧が異なるかもしれません。手で握る代わりに

周りの大きい金属(例えば水道管、シンク)に当てると安定するかもしれません。


ここまでの確認結果を基に、他の自宅コンセントを測ってみると、なんと1か所のみ

「L」「N」が逆の所があるのを発見しました。


手握りの電圧値が、N>Lになっていました。

当該コンセントを使用する装置は、電子仕掛けのない単純な瞬間湯沸かしポット

だけなので、影響はありませんが、当方第二種電気工事士免許を所有しているので、

そのうち配線を直そうかと思います。


念のため、自宅の分電盤の各極をテスターで測ってみました。こんな分電盤です。

デジタル電力量計につながっているため、契約用安全ブレーカーが省略されています。

漏電ブレーカーに入る基幹側の3本について、「L1」「N」、「L2」「N」、「L1」

「L2」間を測ります。L1~L2が約200V、他の2つが約100Vと仕様通りです。

またアース極と「L1」「L2」「N」との間を測ります。「L1」「L2」が約100V、

「N」が約0Vと仕様通りです。

最後に、プローブの一方を手で握り(測定の都合で握らずに指にセロハンテープで

貼り付け)、もう片方を「L1」「L2」「N」アース極に接続した場合を測定しました。

電圧の値は、L1=L2>N>アース極の順となります。


ということで、コンセントの各端子の電圧の傾向がわかりました。この結果を

基に、今後コンセントの接続が正しいかどうかを確認したい場合は測定して

みたいと思います。

では。

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